毎月5日と20日の2回、テーマごとに3冊を選ぶコーナーです。

 

 

青空の本棚

写真ノ中ノ空            『写真ノ中ノ空』

 

 谷川俊太郎さんと荒木経惟さんの強力タッグ。写真詩集です。どう考えても売れそうなのに、残念ながら版元在庫きれのようです。ご希望の方はマーケットプレイスからどうぞ。


スカイ・クロラ (中公文庫)             『スカイクロラ』

 

 僕はまだ子供で、ときどき、右手が人を殺す。

 その代わり、誰かの右手が、僕を殺してくれるだろう。

 上記の文言は、単行本版の帯のコピーにもなっていました(ちょっと自信がないですが、たしか、たしかね)。ものすごく個人的な見解で言わせてもらえれば、森博嗣版の『紅の豚』だと思っています。

 

              『空カフェ』

 

 屋上や庭、テラス、山だったり、海だったり、高層ビルだったりどこか「空」を感じる店・・・・・・それが「空カフェ」。

 だそうです。

 いわゆるカフェ紹介本ではなく、空を感じることができるお店を集めた本です。ありそうでなかなかないですよね、こういうの。発売日も去年の年末なので結構最新情報ですよ。


 

愛とか恋とかめんどくせーの本棚

恋愛嫌い (集英社文庫)             『恋愛嫌い』

 

 安寿子さんの、恋愛が苦手な女性たちを描いた連作短編集。女のひとの方が、恋愛がめんどくさい、とか言うと非難される率が高い気がするので大変そうです。なんか勢いで書いちゃましたが、やっぱ男女とも同じかもしれません。

 

パレード (幻冬舎文庫)              『パレード』

 

 吉田修一さんのヒット作。ひとりでいるより他人といる方が孤独を感じること。そのことをこんなに面白い小説に仕立てたことが凄い。エンタテイメントとしてもおもしろいと思います。

 

孤独について―生きるのが困難な人々へ (文春文庫)            『孤独について』

 

 戦う哲学者こと、中島義道さんの「孤独」をテーマにした本。必要なときだけ愛がほしいとか、「このひとめんどくさそーだなー」とは思いますが、たいてい皆、一度は同じようなことを考えたことがあるんじゃないでしょうか。

 

「楽しいことがたくさん」の本棚

HAPPY NEWS           『HAPPY NEWS』

 

 日本新聞協会が主催した「ハッピーニュースキャンペーン」に応募されたハッピーなニュースを厳選。それをなんと一冊の本にまとめています。

 こういう新聞、あっていいですよね。最近ネットで話題になった、セブンイレブンのネットプリントを使った新聞なんかこういうのに向いている気がします。

 

つるばらつるばら (白泉社文庫)           『つるばらつるばら』

 

 大島弓子さんの傑作短編集の漫画文庫。特にここに収録されている『毎日が夏休み』を今回の本棚に推したいです。なんかいろいろあっても、ちいさかった頃確かに感じていた「楽しさ」が大島さんの漫画には散らばっていると思います。

 

 

ふつうの会社とパンチパーマ       『ふつうの会社とパンチパーマ』

 

 どこにでもある会社のごくあたりまえの毎日を四コマ化した漫画。これ、読んだのが結構前なのでよく覚えてないんですが、いわゆるコミックエッセイではなくあくまでフィクションだったと思います(違ってたらすいません)。

 『強気な小心者』シリーズの著者の作品ですが、『強気な・・』が苦手だったひともこれは試してほしいです。

 

おでんの本棚

吉田類の酒場放浪記         『吉田類の酒場放浪記』

 

 おでんが食べたい寒さになってまいりました。直接おでんに関する本ではないですが、おでんといえば酒でしょう。飲みでしょう。ということで、酒好きの代表、吉田類さんの本を。

 日本酒、いいですよね。

 

コンビニでは、なぜ8月におでんを売り始めたのか (扶桑社新書)『コンビニでは、なぜ8月におでんを売り始めたのか』

 

 すごく新書のタイトルっぽくていいです。コンビニでは、なぜ8月におでんを売り始めたのか、単純に知りたいですし。おでんだけでなく、コンビニの商品全体のマーケティングについて書かれた本なのでその点はご注意を。

 

  『おでん屋さんが書いた

              おでんの本』

 

 浅草の老舗「大多福」の主人が江戸情緒あふれる浅草の風景を折り込みながら語る、日本の味おでんのあれこれ。だそうです。このお店、行きたいんですよね。おいしそう。でも正直に言うと、東京のおでんって私には味が濃すぎます。

 

 

傷つけられるということの本棚

性犯罪被害にあうということ        『性犯罪被害にあうということ』

 

 24歳で性犯罪被害にあった女性による、実名手記。単行本発売時から本屋で何度か手にとっているにも関わらず、結局一度も読んでいません。読むのが怖いから。二十代前半まで、暴力全般が嫌で嫌で仕方なくてでもアダルトビデオのレイプものとかは普通に観ていて、そんな自分が嫌いでついでに男全般を嫌いになっていました。

 この本をまだ読めないのは、また昔のようにたくさんのものを嫌いになってしまうのが、怖いのだと思います。

 

いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか (講談社現代新書) 『いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか』

 

 いじめを研究対象として、多数の著書がある内藤朝雄さんの新書。大人として何か言えることがあるとしたら、学校なんてやめていいんだということ。義務教育は教育を受ける義務ではなくて、あくまで教育を受けさせる義務だから。もう一つは、教室と家の他になんでもいいから、もう一か所居場所をつくってほしい。いじめがなくなることはきっとないから、だからこそ、できるだけ悲しいニュースが少なくなってほしいです。

 

僕の明日を照らして         『僕の明日を照らして』

 

 瀬尾まいこさんによる、家庭内DVを真っ向から取り上げた小説です。驚くほどセンスのない、とても商業作品とは思えないタイトルも、著者のこの物語にかける愚直さの表れだと思います。

 おもしろかったー、というような読後感も、感動の涙もありません。ただ、登場人物たちが楽しく暮らせているように願うだけです。

 

正しいということの本棚

結婚失格 (講談社文庫)              『結婚失格』

 

 歌人・桝野浩一さんによる、自らの離婚の内情を「書評」という枠組でセキララに書ききった話題作です。桝野さんが言っていることは正しい。そして、解説の町田さんが言っていることも正しい。そして、おそらく読者のほとんどが思うように、これじゃふられて当然だよ、とも思う。

 それでも。子供に会いたいと、ひたすら言い続ける彼を私は否定しきれないのです。嫌なことを嫌だと言い続ける桝野さんの姿に、もしかしたら、憧れているのかもしれません。

 

物語 数学の歴史―正しさへの挑戦 (中公新書)   『物語 数学の歴史 正しさへの挑戦』

 

 通約不可能性、円周率、微積分…。これらの発見やパラダイムシフトは、数学史全体の中でどんな意味を持ち、どんな発展をもたらしたのか。

 という現役の数学者による新書です。昔なにかで読んだ、「数学では一度定理として認められたら、それは真実だ。覆ることはない(すごいうろ覚え)」っていうのがかっこよくて、私の数学のイメージはそれ以来「かっこよい」のまま、変わっていません。

 

「悪」と戦う            『「悪」と戦う』

 

 高橋源一郎さんの現時点での最新小説。去年の5月に発売されたものです。「悪」の対義語ってなんなんでしょうか。私はずっと「正義」だと思っていたんですが、「善」なんですよね。「悪」の反対は。じゃあ、「正義」ってなんなんでしょうか。「悪」にとっての「正義」というのもあるのではないでしょうか。疑問形ばかりになっているのは、私にはさっぱり答えがわからないからです。

 

地震の後に続いてゆく本棚

復興の道なかばで――阪神淡路大震災一年の記録            『復興の道なかばで』

 

 精神科医・中井久夫さんが阪神大震災後の一年間の記録を収めた書が再編集のうえ復刊しました。もうすぐ震災から半年が経とうとしています。そして、きっと問題はなにひとつ解決していなくて、これからも問題は増えていくでしょう。

 阪神大震災から学べることがあるなら、それは私たちみなが共有する必要があると思うのです。

 

災害ユートピア―なぜそのとき特別な共同体が立ち上るのか 『災害ユートピア 

    なぜそのとき特別な共同体が立ち上るのか』

 

 不幸のどん底にありながら、人は困っている人に手を差し伸べる。人々は喜々として自分のやれることに精を出す。見ず知らずの人間に食事や寝場所を与える。知らぬ間に話し合いのフォーラムができる…。なぜその“楽園”が日常に生かされることはないのか?

 2010年12月に発売された、アメリカ人ライターによるノンフィクション。これは想像だけれど、ここで書かれている「ユートピア」には期限があるのだ。おそらく、ほんの数か月足らずの。

 

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)         『神の子どもたちはみな踊る』

 

 既読の方も多いかとは思いますが、村上春樹さんの震災をテーマにした小説です。個人的には村上さんの小説は苦手な部類なのですが、震災そのものではなく、地震という災害にふりまわされるひとたちに焦点をあてたこの物語を、同じように村上春樹さんが苦手という方にも読んでほしいです。

 

 

おともだちの本棚

ホリー・ガーデン (新潮文庫)             『ホリーガーデン』

 

 果歩と静枝。30歳を目前とした2人の女性の関わりが、ゆっくりと描かれています。江國香織さんの本で、一番最初に読んだ本がこれでした。不穏と静けさが一緒くたになってる感じとか、今でも好きな本のひとつです。

 

 

レヴォリューション No.3 (角川文庫)        『レヴォリューション No.3』

 

 落ちこぼれの高校三年生である「僕たち」がなんやかんやで女子校の文化祭に突入してなんやかんやする話です。金城一紀さんの大人気「ゾンビーズ」シリーズ第一作。たぶん、ともだちとか友情だなんて言葉は一生口にしなさそうな、男子たちの物語です。

 

きみの友だち (新潮文庫)             『きみの友だち』

 

 重松清さんによる、「ともだち」をテーマにした連作短編。当たり前ですけど、これを読んで「ともだち」とは何かがわかるとかではありません。「ともだちってなんだろう」と考えている方が、その手助けとして読む物語ではないでしょうか。