毎月5日と20日の2回、テーマごとに3冊を選ぶコーナーです。

 

 

夢中になるひとたちの本棚

ザ・ビッグイヤー 世界最大のバードウォッチング競技会に挑む男と鳥の狂詩曲           『ザ・ビッグイヤー』

 

 1年間に北米大陸で見つけた鳥の種類の多さを自己申告制で競う、という、アメリカっぽいと言えばアメリカっぽい、無茶な遊びに取り組む大人たちの記録です。バカたちの記録と言ってもいいかもしれません。みんな心底、楽しそうで、うらやましくなります。

 

 

僕は秋子に借りがある〈森博嗣自選短編集〉 (講談社文庫)         『僕は秋子に借りがある』

 

 ええと、森博嗣さんの自選短編集なんですが、今回選びたいのはその中の『素敵な模型屋さん』という短編です。『今夜はパラシュート博物館へ』にも収録されていて、そちらでは羽海野 チカさんが模型づくりが好きだったお兄さんについての素敵な解説も書かれています。

 ものをつくることの楽しさ。夢中になることの楽しさがつまっている、短編だと思います。

 

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち            『ハッカーと画家』

 

 世間的にいう「ハッカー」という言葉は、優秀なプログラマを指していて、いわゆる犯罪的行為をするひとたちは「クラッカー」と呼ばれているそうです。

 自身が優秀なハッカーであり、ベンチャー企業の設立者でもある著者が、ハッカーたちの生き方・考え方などを語っています。最近も、ソニーのセキュリティコードを公開したり、iPhoneのジェイルブレイクを開発したひとが、フェイスブックに入社したニュースがありました。コンピューターに魅入られたひとたちの思考に、少しでも触れられる本だと思います。

 

ひまつぶしの本棚

去年ルノアールで 完全版 (マガジンハウス文庫 せ 1-1)           『去年ルノアールで』

 

 テレビの構成作家・せきしろさんの名を、本好きの間に轟かせた名作。ルノアール、という喫茶店で、ただひたすら妄想するせきしろさんの妄想力を堪能してください。

 妄想するだけなら、ただですもんね。楽しいし。

 

ぼんやりの時間 (岩波新書)           『ぼんやりの時間』

 

 十年近く朝日新聞の「天声人語」のコーナーを担当していた著者が、真面目に真剣に、ぼんやりすることを奨励してくれる本です。ぼんやり、いいよね。

 ぼんやりと満腹がタッグを組むと、もっと、いいよね。

 

となりの関くん① (MFコミックス フラッパーシリーズ)           『となりの関くん』

 

 授業中に遊ぶ関くんの様子がただひたすら描かれる、恐るべき漫画です。ワンアイデアの漫画と思われそうですけど、関くんは基本喋らないこととか、となりの席の横井さんのキャラとか、すごく良くできてると思います。東村アキコさんの弟、っていうのもすごく納得。

 

動物たちの本棚

ジョニー・ザ・ラビット          『ジョニー・ザ・ラビット』

 

 人間になりたかった、孤独なうさぎ、探偵ジョニー・ラビットのハードボイルド小説。いわゆるユーモア小説ではなくて、意外に本格的なハードボイルドものです。個人的にもおすすめ。ちなみにジョニーはオスです。

 

 

プラテーロとわたし 秋・冬 (フォア文庫)

プラテーロとわたし〈春・夏〉 (フォア文庫)   『プラテーロとわたし』

 

 はじめてこの本を知ったのは、江國香織さんのエッセイでした。それで、「読みたいっ」と思って買ったのですが、どんなふうに紹介されてたのかはまるで覚えてません。

 じいさんとプラテーロという名のロバの目を通した、散文詩。これは買ってから知ったのですが、ノーベル文学賞を受賞しています。

 

猫ジャケ ~素晴らしきネコードの世界    『猫ジャケ ~素晴らしきネコードの世界』

 

 古今東西のかわいい猫のレコード・ジャケット約200枚を、ただひたすら集めた本。遠藤賢司さんの猫インタビューも収録されてます。表紙のジャケットが既にかわいいですよね。

 

 

そんなことするからの本棚

毒草を食べてみた (文春新書)           『毒草を食べてみた』

 

 正倉院に収められた毒草ランゴン。画期的な心臓薬となったジギタリス。じつは身近にある毒草たちの面白くも不思議な発見の物語。だそうな。これ、書店で働いていたとき、新書の棚ですごく回転が良かったんですよね。食べてみた、じゃないよ。だめでしょ、食べちゃ。ちなみに中身は真面目なルポですよ。

 

中央線で行く東京横断ホッピーマラソン (ちくま文庫)  『中央線で行く東京横断ホッピーマラソン』

 

 ミニコミ界の雄、『酒とつまみ』の大人気企画の書籍化。したものをさらに筑摩書房が文庫にまでしちゃった本です。東京駅から高尾駅までの中央線32駅に途中下車しひたすらホッピーを飲む、という、「なんでそんなことすんの」企画。この企画がまず評判になって、それから『酒とつまみ』本誌を知ったという方も多いのではないでしょうか。単行本のみの特別編として、京王線逆送編も載ってるそうな。

 

ガンジス河でバタフライ (幻冬舎文庫)        『ガンジス河でバタフライ』

 

 タイトルどおり、OLの身でめちゃくちゃな旅行を繰り返す、たかのてるこさんのデビュー作。やってることがすごいというかひどいのも魅力なんですが、文章がとても上手な方だと思います。読みやすいですしね。

 

 

森の奥の本棚

ウィ・ラ・モラ―オオカミ犬ウルフィーとの旅路             『ウィ・ラ・モラ』

 

 カナダの森で出会ったオオカミ犬の子犬。美しい小さな森の命に、私は完全に恋に落ちてしまった。

 という、著者の田中千恵さんと一匹のオオカミ犬の日々が綴られています。確か、発売時は冒険家の石川直樹さんの推薦コメントが帯に書かれてたと思います。内容は忘れましたが。すごく好きな装丁で、発売時興奮したのを覚えています。

 

 

阿修羅ガール (新潮文庫)            『阿修羅ガール』

 

 舞城王太郎さんの初期代表作。三部仕立てなのですが、第二部で語られる深い森の物語が恐怖とともに胸に残ります。初めて読んだとき、結構な大人でしたが、白状すると一度読むのをやめました。一週間ほど、あの怖さが頭から離れませんでした。

 

 

フィンランド・森の精霊と旅をする - Tree People (トゥリー・ピープル) -    『フィンランド・森の精霊と旅をする』

 

 ぺらぺらとめくって写真を眺めるだけでも楽しめる一冊。こういうのを見ると、日本人にはヨーロッパのひとたちにとっての『森』をずっと共有できないんじゃないかと思ってしまいます。

 なんか、家に来客がある際に、とりあえず本棚に入れておきたい本でもあります。

 

日本在住の本棚

アイバンのラーメン           『アイバンのラーメン』

 

 ニューヨーク州でシェフとして働いていた生粋のアメリカ人、アイバン・オーキンさんの本。経堂にある人気ラーメン店『アイバンラーメン』をつくることになったきっかけ、ラーメンへの愛情などなど、いろいろ語られてちょっとした自伝のような感じになっています。

 

 

foreigner’s table―日本在住32ヵ国63人の外国人が贈るHAPPYレシピ            『foreigner’s table』

 

 中国、韓国、タイ、インド、アフガニスタン、イスラエル、ルーマニア、ドイツ、アメリカ・・・32カ国63人の外国人が日本でつくる郷土料理にスポットをあてた写真集。

 どの国に住んでも食べたくなる祖国の味がきっとあるのでしょう。もし自分だったら何をつくるか、考えてみるのもいいかもしれません。私はカツ丼だと思います。

 

異国トーキョー漂流記 (集英社文庫)           『異国トーキョー漂流記』

 

 故郷を追われたイラク人や盲目で野球狂のスーダン人など、著者の高野秀行さんが知り合った、いろんな事情をもったいろんな国のひとたちと過ごした日々の記録です。こんなふうに海外とひとたちと接したいなあと思います。

 

 

漫画家というひとたちの本棚

ワンダーワード―柴崎友香漫画家対談・エッセイ集            『ワンダーワード』

 

 小説家・柴崎友香さんによる、漫画家との対談集。映画にもなった『きょうのできごと』の原作者、というのがいちばんわかりやすいでしょうか。表紙が浅野いにおさんなのをみたとき、「柴崎さん、好きそうだなあ浅野いにお」って思ったのを覚えています。

 

 

イママン 本谷有希子マンガ家インタビュウ&対談集              『イママン』

 

 本谷有希子がマンガ家の仕事場を遍路する『オールナイトニッポン』の人気コーナーがまさかの書籍化。だそうです。星里もちるさんとか河井克夫さんとか、「そこ行く?」って人選も素敵です。

 

 

 

よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり        『あのひととここだけのおしゃべり』

 

 よしながふみさんの漫画家対談集(一部、違う職種の方もいますが)。とりあえず、やまだないとさんと、萩尾望都さんとの対談だけでも読みたいです。

 

 

 

言葉のない本棚

狂人の太鼓             『狂人の太鼓』

 

 奴隷商人の父親がアフリカから持ち帰った太鼓は、一家に何をもたらしたのか。

 120枚もの木版画で綴られた、文字のない小説。こういう本を出してくれるのが国書刊行会の素敵なところですよね。

 

 

童夢 (アクションコミックス)               『童夢』

 

 言うまでもない、大友克洋さんの初期代表作。名前は知っていても『AKIRA』しか読んだことないや、という方は、もうなんでしょう、今から初めて『童夢』を読めるっていうのが羨ましいです。

 

 

アンジュール―ある犬の物語              『アンジュール』

 

 おそらく「言葉のない本」として一番有名なのはこの本なのではないでしょうか。一匹の犬の視点でみた世界が、鉛筆デッサンで綴られています。結構今でも置いている本屋さんも多いと思うので、半信半疑の方は是非一度立ち読みしてみてください。

 

生活は続いてゆくことの本棚

PAY DAY!!! (新潮文庫)            『PAY DAY!!!』

 

 9.11の事件の後に書かれた、山田詠美さんの小説。素晴らしいのは、小説の焦点が悲惨な事件ではなく、生き残りその後も生きていかなければならないひとたちに向けられていることだと思います。

 個人的な趣味として、山田詠美さんは好きなタイプの作家ではないのですが自信をもって「これ、いいよ」とひとに薦められる小説です。

 これ、いいよ。

 

百年の孤独              『百年の孤独』

 

 南米の作家・ガルシア・マルケスの代表作。名前は聞いたことあるけど読んだことはない、って方も多いのではないでしょうか。

 百年もの年月にわたって続く、ある一族の物語です。小説の世界に入り込めるという点ですごく好きな作品です。長いですができれば一気読みをおすすめしたいです。海外の名作文学としては珍しく、これ、文庫になってないんですよね何故か。

 

となり町戦争 (集英社文庫)             『となり町戦争』

 

 現実感がまったくないまま行われる、となり町との戦争。戦争が起きている様子は一切ないのに、書類上でだけ膨れ上がる死亡者数。三崎亜紀さんのデビュー作であり、現時点での代表作でしょう。ストーリー云々よりも、そこそこに読後記憶に残るようなセリフや言葉があって、物語よりもいくつかの言葉が頭に残っています。

 

 

ロードムービーとしての本棚

       『世界の果てまで何マイル』

 

 時の終わりでこの世界の夢を見ている魔法使いトーキング・マン。失踪した彼を探す一人娘と大学生のウィリアムズのクライスラーでの二人旅を綴った名作SFです。

 まずタイトルがかっこいい。SFと言ってしまうと敬遠する方も多いかと思いますが、読みやすいですし小説の楽しみがつまった物語だと思います。残念ながら現在絶版中。USEDの中古からどうぞ。

 

 

ツーリズモ―バルセロナ、リスボン、パリ ひとり旅のようなふたり旅          『ツーリズモ』

 

 バンド・クラムボンのボーカル、原田郁子さんと、妹で写真家の原田奈々さんの二人旅。姉の文章と妹の写真で構成されています。

 あー、旅行行きたいですね。

 

キッドナップ・ツアー (新潮文庫)           『キッドナップツアー』

 

 いまやベテラン作家といった印象になりつつある、角田光代さんのヤングアダルト向けとして書かれたもの。かなり初期の作品です。

 夏休みにろくでなしの父親に誘拐された小学5年生の女の子の視点で書かれた、おすすめのロードムービーもの。ロードムービー、って映画に限らずジャンル名になってる気がするのは私だけでしょうか。