岩田一矢さんによる月1連載です。
毎月1日更新
本にまつわるあれこれを書いたり書かなかったりします。
『今日からオンナノコ!!』鳥山仁著
女装マニュアル。それ以上でも以下でもない。
自分の名誉のためこれだけは主張したいのだが俺は決して自分から望んでこれを購入したわけではない。友人からもらったのだ。本当だ。俺は女装にこれっぽっちの興味もないし何ならキンタマを見てもらってもいい。女装に興味があるとは思えないほど陰毛にまみれたキンタマだ、作り物だと思うなら触ってみてもいい。そう、手のひらで柔らかく包み込むように、ああ、いいよ。そうだ。指で軽く揉みほぐしてくれるともっと。
話を戻そう。
しかし戻したところで女装の話だ。いっそこのまま筆を置いて伊豆へ遊山に出かけた方が万兆倍有意義なのではないかとすら思える。そもそもなぜ友人がこれを俺にくれたのかがわからない。あれか。あまりにも消極的な敵軍の将へ女物の着物を贈った諸葛孔明の故事にならい、俺の女々しさを遠回りにディスっているのか。このチキン野郎と。男なら家に引きこもってねえで出てきやがれ、キンタマついてんのかオカマ野郎。お? ついてんのか。どれどれ、おっ、このキンタマなかなか、へへ、じゃあこいつを揉みほぐし
話を戻そう。
だいたいこの本は友人の所有物ではなく新刊を購入したものだ。つまり身銭切って恥ずかしい思いをしたのは友人だけで孔明の生まれ変わりにしては頭が悪い。だとすればこれは悪意からではなく百パーセント善意によるプレゼントだ。誕生日にこれをくれたということは、なるほど、今までのクソッタレな自分を殺し、今こそ新しい自分自身を、"オンナノコ"としての自分をBIRTHさせろということかオッケー! オッケーなことあるかそんなもん産まれた瞬間世間的にDEATHだバカ。
とはいえせっかくの好意をふいにするのもアレなので一応目を通してみた。
女装男子向けということでファッションに関してだけかとおもいきや中身は意外としっかりしており、ヘアケア、ボディケア、メイクは無論のこと、女性らしい仕草の研究と果ては女性らしい声を出すための訓練方法まで網羅しておりまさに書名に違わず「オンナノコ」になりたい人向けの内容。さらに巻末には女装サロン、女装メイクルーム、女装カラオケ、都内各地で行われている女装イベントの紹介に加え先輩女装男子たちからの嬉しいエール
「本当の自分が解放された気分」
「友人が増えた。女性とも抵抗なく喋れるように」
「仕草や喋り方が上品に!」
「目覚めたのは二十歳から」
「まずは下着女装からでもOK!」
「四十歳からでも全然遅くありません!(四十八歳 男性)」
伊豆行こう。

