01

8月

2009

蝉よさらば

 ええと、今週の火曜なんですが、なんかバナナのお酒の試飲を道端でやってたんです。

 暑い日でした。

 セミの声がうるさいくらいに響く、どこにでもある夏の日でした。アスファルトの表面がゆらゆらと揺れて見えました。

 ところで今年まだセミの声を聞いていないんですが、これはやっぱり嘘を書いたことになるんでしょうか。そもそもセミの姿すら見てないんですが、大丈夫なんでしょうか。絶滅とかしてませんか。子供のころ、捕まえたセミのお尻に爆竹を差し込んで公園のジャングルジムの上から「羽ばたけっ」と空に放して空中で爆発するセミを見て笑う、という自分の子供がやってたら怒るより前に泣き崩れてしまいそうなひとり遊びが大好きだったんですが、セミが絶滅した際には男らしく自首するつもりです。セミを絶滅させたのは私です、って交番で言います。

 

 まあそれで、セミの声ひとつしないただ暑いだけの外をだらだら歩いてたときに、スーパーだか酒屋だかよくわからない店の前で女のひとが

「いかがですかー」

的な呼び込みをしてたわけなんです。

 結構盛況な様子だったんですが、その中で三十代ぐらいの女のひとと、たぶんその息子(推定四歳から七歳ぐらい)が立ち止まって、試飲を始めまして。当然飲むのはお母さんだけなんですけど、なにこれおいしいこれなにおいしいあれおいしいわわわわわわ、とちょっと心配になるぐらいテンション上がってまして。

「ぼくもっ、ぼくもっ、のむっ」

と息子のテンションも急上昇。お酒は二十歳になってから、とお母さんに怒られる始末でした。

 まあ、母親が急にあんな変貌をとげたら、息子が欲しがるのもやむなしと言えるでしょう。

 で。

 息子がですね、言うんですよ、お母さんに。

「おねがい、ちょっとだけちょっとだけでいいから、ぼくがはたちになるまでれいぞうこにのこしといてっ」

 

 うん、言いたいことはたくさんあるけれど、とりあえず君はあれだ、冷蔵庫を信頼しすぎだと思います。