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10月

2009

古本の話

 

 古本の世界というのはなんだか「素人は入ってこないで」的な空気を感じてしまって、私自身はあんまり詳しくありません。神田の古本街とかね。店主の顔がまず怖いよ、って店が多いですから。まああと、本が好きなのは好きなんですけど、古本屋で高い値がついてる昔の本とか知らない本が多いですし。
 で。
 そんな私でも、毎週のように古本屋めぐりをしていた時期がありまして。吉野朔実さんという漫画家の『いたいけな瞳』というマンガをずっと探していたんです。今現在は既に漫画文庫になっているので問題ないんですが、当時はまだなっていなくて、ワイド版は既に全巻絶版、という状況でした。
 一ヶ月ぐらいで全八巻のうち七冊は揃ったんですが、どうしても六巻だけが見つからなかったんです。アマゾンの中古や、中野のまんだらけといった大きな場所にも少なくとも当時はなくて、結構本気で見つからなかったので、一度あきらめちゃいまして。
 偶然見つけたのは二年後ぐらいだったと思います。
 すっごい。すっごい嬉しかったにもかかわらず、場所を覚えていないんですが、店はブックオフでした。全巻、百円均一の棚にささっていて、わぁーって気持ちになったのを覚えています。今書いて思ったけど、わぁーって気持ち、ってなんだ。伝わっているものと無理矢理解釈して話を進めますが、古本が好きなひとたちの気持ちがあのときに少し理解できたように思えました。
 お金を出しても手に入らないものを、直接店舗に足を運んだりネットなら定期的に絶えず閲覧したり、つまりは自分の時間を使って手に入れること。
 本に対する愛着が、新刊書店でふらっと買ったものとではまるで違ってくるのだと思います。

 最後にもうひとつ、古本がらみのエピソードを。
 中学生の頃に、自転車をチャリチャリこいでたら『新刊本50%オフ』っていうでかい看板がついた本屋を見つけまして。そのときはまだ閉まっていて、夕方六時から開店って書いてあったので、当時から本好きだった私としては
「すごい店見つけたっ」
って興奮して一度家に帰って、夜になってからまたチャリチャリ自転車でその店に向かったら、エロ本屋でした。イメージ的な意味ではなく、壁がピンク色でした。がっかりというか騙されたとは思いましたが、結局『デラべっぴん』を一冊買って帰りました。そうです。それが初めて自分で買ったエロ本です。
 うん。このエピソードまるごと、読んでいただいている方の自宅にある国語辞典の『蛇足』のページに書き込んでいただければ幸いです。

 

 

 

いたいけな瞳 (1) (小学館文庫)