土
02
1月
2009
本屋大賞についておもうこと。
すこし個人的な話になってしまうのですが、書店の現場から離れておおよそ8ヵ月が経ちました。あっという間だった、と言いたいのだけれど、今現在書店で働いていたのが数年前のように感じています。
それで、忘れてしまわないうちに、働いていた頃思っていた『本屋大賞』のことを書いておきたいと思います。ただ、私は運営側の方とはほとんど面識もありませんし、『本屋大賞』とはこうなんだ、ということではなく、私個人の考えであることをご了承ください。
あと、たぶん長くなるのでそれもご了承ください。
『本屋大賞』は書店で働いてさえいれば、社員・アルバイト関係なく誰でも参加できる賞です。
そして批判的な言葉も、出版社であったり書店であったりライターであったり、どちらかというと業界内から聞こえていたように思います。
その内容はたいてい一緒で、
「せっかく書店員が選ぶ賞なのに、どうしてそんなものを選ぶの?
もっと地味で売れていなくても『売りたい』と思う『いい本』を選ぶべきなんじゃないか」
というような趣旨でした。
まず言いたいのは、『いい本』なんていうのは存在しないということです。あるのは『おもしろかった本』だけで、それは読むひとによって全部違うということです。
『いい本』『悪い本』なんて考え方が、ライトノベルなんてばかげたジャンルのくくり方を生み出したように思えてなりません。ライトノベル全般を下にみているひとたちは驚くことに確実にいて、それは例えば、定金伸治さんの『ジハード』や最近だと紅玉いづきさんの『ミミズクと夜の王』に心を動かされたひとたちを、本を売る側の人間が本が好きなひとたちをばかにしているのと同じことのように思うのです。
おもしろいと思うひとと、そうじゃないひとがいる。
それだけのことなのに。
これは断言してもいいと思うのですが、本屋大賞の歴代の受賞作は全部、本屋大賞がなければ特になんの賞もとっていません。リリーフランキーさんの『東京タワー』に至っては、おそらくノミネートすらどの賞にもされなかったでしょう。
できるだけたくさんのひとたちが面白いと思える間口の広い本を、「おもしろいよ」と紹介すること。
仕事が忙しくてたまには本を読みたいけど読む時間も面白い本を調べる時間もなくて、そんなひとたちがたまのぽっかり空いた休日に安心して手を伸ばせるような本を紹介すること。
そんな一番必要とされている賞に、本屋大賞はなりつつあると思うのです。
以前伊坂幸太郎さんが『ゴールデンスランバー』で大賞をとったとき、翌年「2年連続は選んじゃ駄目でしょ」というような声を聞いたことがありました。
よくわかりませんでした。
作家の権威とか、実績とか、発売元の出版社とか、そんな本のおもしろさとは関係ない部分が働いている他の賞の選考にはみんな飽き飽きしていると思っていたからです。
おもしろければ、2年でも3年でもずっと取り続ければいい。それが読者の信頼につながるんじゃないかと思うのです。
ただ、本屋大賞に関しては一つだけ残念なことがあります。
それは投票数の少なさです。
具体数は書きませんが、全国の全書店員数から考えると、まだまだ多くの書店員が投票していないというのが実情だと思います。
2009年度の一次投票期限は1月11日。どうか一人でも多くの書店員が投票してくれるよう、なんの関係者でもないのに勝手に願っています。
お金にもならないことを少ない時間とお金を削って運営してくれているスタッフの方たちに恩返しする方法は、それだけだと思うのです。
下に公式サイトのリンクをこれまた勝手に貼っておくので、もし今現在書店でアルバイトしていて、アルバイトも参加できることを知らない方がいたら、是非のぞいてみてやってください。
本屋大賞公式サイト